皮脂腺とは?皮脂の臭い・皮脂の分泌量・皮脂腺と汗腺の違いとは
人間の身体には、腺と呼ばれる細胞の集まりが無数にあります。これら腺の役割は、身体の内部で生じる細胞を分泌する役割を持っています。特に有名なものが、汗を発生させる汗腺、皮脂を発生させる皮脂腺です。
人間の皮膚に無数に存在するこれら2つの線は、絶えず活動をしており、汗と皮脂を分泌させることで、肌に潤いを与えたり、皮膚を防護する役割をしているのです。
しかし、これらの腺から分泌された汗や皮脂は、人間の体臭の原因になってしまいます。特に皮脂は、年齢と共に多く分泌され、加齢臭などの原因物質となっています。
体臭は汗と皮脂が大きな原因となりますが、汗腺と皮脂腺ではどのような違いがあるのでしょうか。
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皮脂と汗の違い
皮脂腺と汗腺、どちらも身体の表面に多く分布しており、細胞から身体の表面に分泌液を放出します。汗腺の場合は汗、皮脂腺の場合は皮脂という物質を皮膚の表面に放出します。
これらの物質の大きく異なる点は、皮膚を直接保護するという目的と、身体の体温調節をするという目的に分かれている点です。
汗腺から放出される汗は、主に身体の体温調節を行う役割をはたしています。身体が熱い時には、通常人間は汗をかきます。これは身体の体温を正常に維持しようとして、汗を放出して身体を冷まそうとする働きなのです。
それに対して、皮脂には身体の体温調節などの機能はありません。皮脂は、身体に潤いを与え、皮膚を保護する役割を果たしています。保湿機能、皮膚の保護機能、抗菌作用があり、皮膚を外部から守ってくれる役割を果たしています。
汗と皮脂はどちらも液体であり、皮膚の表面に分泌されますが、その役割は大きく異なっているのです。では、皮脂や皮脂腺とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
皮脂とはいったい何か
身体に多く存在している皮脂腺ですが、これらから分泌される皮脂には、私たちの身体を保護する大事な役割があります。それは、皮膚に潤いを与え、保護を行うという働きです。
皮脂を構成する成分はトリグリセライド、ワックスエステル、スクアレンという物質で構成されており、肌を守るために様々な機能を持っています。
保湿機能
皮脂の成分は脂肪が大半であり、毛穴から分泌して油膜を作り上げます。肌に油膜が広がると、皮膚から体外に余分な水分が放出されにくくなります。肌に油膜を張ることで、身体の水分を内側に蓄える役割があるのです。
保護機能
皮脂は、肌を外部から守る役割をしています。皮脂とは油分を多く含む液体であるため、皮膚表面に潤滑性を与える役割を果たします。肌が潤滑になると、外部との摩擦が軽減し、肌を傷つける恐れのある要因から守ってくれます。
抗菌機能
私達の皮膚には皮膚常在菌と呼ばれる、外部の悪い菌から身体を守る善玉菌が活動しています。この皮膚常在菌のエネルギーとなっているのが皮脂です。皮膚常在菌が皮脂と反応することで、弱酸性の肌へとなるのです。弱酸性の肌は、雑菌やカビなどを防ぐ効果を発揮します。
このように、皮脂には身体の皮膚などの保護を行う様々な役割があるのです。
皮脂腺の分布
身体の保護機能を持っている皮脂ですが、皮脂腺と呼ばれる箇所から分泌されます。皮脂腺とは、体中に分布しており、皮脂と呼ばれる液体を発生させる細胞の構造体を指します。
皮脂腺は、体毛1本につき1つ存在しています。毛穴の中に存在しており、毛穴を通して皮脂を皮膚の表面に放出します。つまり、体毛のある場所には皮脂腺があるということなのです。
皮脂腺は体中に分布していますが、部位によって多く存在している所と、あまり多く存在していない所があります。
人間で、最もこの皮脂腺が多く存在している場所は頭皮です。頭皮には、1平方cmあたり約800個ほど確認されています。また、額や鼻などにも多く、1平方cmあたり約400個もの皮脂腺が存在しています。
頭髪など、時間が経つと油っぽく感じてしまうのは、頭部に皮脂腺が多くあるためであり、皮脂を分泌させ、頭皮を守る役割をしているためなのです。
皮脂の分泌量
皮脂は、油分を含んでおり潤滑性を肌に与えます。しかし、その分泌量が多くなってしまうと、身体全体が不快感を感じてしまう場合もあります。皮脂の分泌量は年齢や時間帯によっても変化がみられるものです。
皮脂の最も多い時間
皮脂の分泌量が最も多くなるのが深夜0時です。その後18時まで分泌量は減少していき、再び18時から深夜0時に向けて増加していく傾向にあります。
年齢性別による皮脂量
年齢男女別にみても分泌量には差があります。男性の皮脂分泌量は、30代から40代の頃に最も多く分泌され、その後減少に転じます。女性の場合のピークは20代から30代であり、以降は急激に減少していきます。
季節による差
夏などの季節は特に分泌が多くなります。暑い時期に身体がべたべたするのは、汗のせいだけではなく、皮脂も大きく関係しているのです。
皮脂による臭い
私達の身体を保護してくれる皮脂ですが、体臭の原因の一つとなってしまうことがあります。皮脂腺は、毛穴の中に存在しており、毛穴を通して皮膚の表面に皮脂を放出します。
通常、人間の皮膚には様々な物質が付着しているものです。角質や皮膚が剥離した物、細菌や汗の残りなどです。もしこれらの物質が、毛穴を塞いでしまった場合、皮脂は皮膚表面に分泌されることができなくなってしまいます。
そうなると、皮脂腺内部で皮脂が酸化してしまい、パルミトオレイン酸という臭気物質を発生させてしまいます。これが俗に加齢臭と呼ばれる臭いの正体なのです。
専用の化粧品や、シャンプーなどで、しっかりと毛穴を綺麗にしておくと解決させることができます。特に頭皮などの箇所は、加齢臭が最も活発に発生する箇所でもあります。体臭を防ぐためには、しっかりと綺麗な毛穴と肌を保つ必要があるのです。