汗腺とは？エクリン腺・アポクリン腺それぞれの働きの違いとは
人や動物の身体の表面には汗腺と呼ばれる構造体が無数に分布しています。皮膚の中に存在する汗腺は、身体の中から汗を放出する機能がります。
この汗腺は育った環境によって数が変化すると言われています。暑い地域で育った場合、汗を多く分泌させるために多くの汗腺ができ、逆に寒い地域で育った場合は汗腺の数が少なくなります。
これら汗腺から分泌される汗は、身体の体温調整の機能を持っており、体温が上昇した場合は汗を放出し、その水分で身体の熱を下げる働きをしています。
汗腺から放出される汗は、細菌が取り付いて、汗に含まれるアミノ酸やたんぱく質を分解する際に酸を発し、いわゆる人間の体臭を作り出すものです。汗と体臭は、非常に密接な関係を持っているのです。
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状況に応じて出る汗は様々
普段私達がかく汗にも様々な種類があります。一言に汗と言っても、状況に応じて汗の発生理由は様々です。
温熱性発汗
身体の体温調節のために発する汗です。食事をしたり、運動をしたりした際、身体の体温の上昇を防ぐ機能があります。全身の汗腺から汗を放出します。
精神性発汗
精神性発汗とは、人間の精神状態に左右されて放出される汗のことを指します。緊張状態に置かれた際に発汗しやすいタイプのもので、手の表面や腋下などから多く放出されます。
味覚性発汗
人間の味覚が刺激された際に放出されます。辛い物、酸っぱいものを食べた際、発汗神経にも刺激を与え、額や鼻先などの汗腺から汗が出やすくなります。
汗にも、状況に応じて出るタイプが異なり、様々な理由で汗をかいてしまうものなのです。
汗と汗腺の仕組みとは
汗を発生させる汗腺ですが、そもそも汗とはいったいどのように生成されるものなのでしょうか。
汗とは、人間の血液から生成されます。汗腺は非常に小さな細胞の集まりによって作られており、皮膚の表面近くの毛細血管と連結しています。汗とは、毛細血管から吸収された水分とミネラルによって作られているのです。
血液中のミネラルと水分は、汗腺に送られた後に汗として身体の表面に放出されます。汗の大部分が水分で作られていますが、中には水分以外の成分も含まれており、その成分は体調や食生活によって異なります。
血液に含まれるミネラルが多い場合、つまり食生活の乱れなどで血液がドロドロになってしまっている状態では、汗に水分以外の成分が多く含まれるのです。このような汗は粘性が強く、臭いも強めになってしまいます。体臭とは普段の食生活に連動しているのです。
また、汗の臭いは汗腺の種類によって大きく異なってきます。汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2つの種類が存在し、発生する汗にも違う特質があります。
エクリン腺の働きと汗の特質
汗腺の1つの種類であるエクリン線は、私たちの身体全体に分布しており、私たちが流す汗の大部分はここから発生します。温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗の場合はこのエクリン線から汗が流れでます。
エクリン腺から出る汗は、無臭透明であり一般的にサラサラした状態の汗です。血液がドロドロになってしまっている場合は、やや粘性が含まれた汗が出ますが、一般的にすぐに臭いが発生する汗ではありません。
これらは、時間の経過とともに細菌が付着して活動を始めると、徐々に臭気を発していきます。
アポクリン腺の働きと汗の特質
エクリン腺が身体の大部分に分布しているのに対して、アポクリン腺は腋下や陰部付近などの部位に集中して存在しています。
アポクリン腺から放出される汗は、水分が多く含まれますが、それ以外にも鉄塩分、脂質、コテステロール類、タンパク質などが含まれます。
エクリン腺から放出される汗が透明で無臭のであるのに対し、アポクリン腺から放出される汗は、濁っており独特の臭いを発します。直接臭気のある汗を発するため、これがワキガなどの原因になってしまうのです。
直接臭いがする汗
アポクリン腺とは体温調節の役割の汗を発するものではなく、体臭の原因である物質を多く分泌する汗腺なのです。もちろん、汗に細菌が付着して活動することで、さらに臭いはきつくなります。しかし、それ以前にアポクリン腺からは元々臭いを発する汗が分泌されてるのです。
また、アポクリン腺生物学的にフェロモンを発生させる汗腺であるということも判明しています。特定部にしか存在していないのは、人間が進化の過程で腋などの狭い範囲に凝縮されてしまったためです。
体臭は2つの種類があり、発生する汗の種類も異なるものです。体臭にはこれら2つの種類の汗が関係していることを把握しておくようにしましょう。
